半熟タマゴ

1/32 琥珀




家に帰り着いたときには、空は闇に覆われる直前だった。




トートバッグから鍵を取り出す。

母の沙耶とお揃いのキーホルダーの鈴を鳴らしながら……

玄関の鍵穴に鍵を突っ込む。





玄関を入ると、久しぶりにリビングから明かりが漏れていた。



心なしか陽はほっとする。

それでも、陽は形だけの帰宅の挨拶を小さくした。





ほんのり煮物の匂いが漂い……

思いがけず、そのリビングからか細い声がした。



『おかえりぃ…』








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