二人きり(1/11)
「加耶ちゃん。戸締りには気を付けてね。何かあったら、いつでも連絡してね」
「はーい。母さんも気を付けて行ってらっしゃい」
土曜日。
母さんはいつもより多めのお金を生活費として渡してくれて、北海道へと出張へと旅立ってしまった。
今日から凜と一週間、二人きりか。
献立に悩むなあ。
凜は、まだ寝ているみたいで起きてこない。
今日、バイトとか言ってなかったかな?
あの資料室の一件以来、
凜にに馬乗りして起こすのはやめにすることにしたけど、流石に11時になって起きてこないのは寝すぎなような?
私は二階に行って、凜の部屋の前でドアをノックする。
「凜っ、起きてる?」
返事はない。
まだ夢の中みたいね。
そっと、ドアを開けてみる。
いつもながら鍵はかかってない。
凜って、あたしに部屋に入られるのは嫌なくせに、鍵はかけないんだよね。