§5.16歳の誕生日 前 1/12
「おっはよ−、茜♪」
「あ−おはよ。七海」
何故に、こうもテンションが違うのか
先に誕生日を迎え、彼氏に指輪を送られた16歳
只今絶好調の親友
河瀬 七海−カワセ ナナミ−
かの“祐樹君”の彼女である
「なんか、オチてる?」
心配そうに、七海が私の顔を覗き込む
「は、ははっ」
力なく笑って見せたら、うにょ−んと頬っぺたを引っ張られた
「い、いひゃいよ」
「祐樹から、聞いた!
夕暮れの王子様について語ってもらうよ?」
強い目力に負けて、私はその名を口にした
「拓海さんだよ
お兄ちゃんに頼まれて、昨日迎えに来てくれたの…それだけ」
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