それでも僕は、恋をする…。
03/[朝が来るまで](15/16)
―幼馴染/ML―
「何やってんだ…俺…」
後には後悔しか残らないなんて。
拓也が何を考えてんのか、分かんねえ。
確かに前とは違う何かを感じたのに。
俺の思い過ごし…ってか、自分に都合良く考えただけか。
寝室に戻ると、さっきはうつ伏せで寝入ってた拓也が、仰向けになって大の字になっている。
ーーまったく…人の気も知らないで。
俺なんか頭からシャワーを浴びても、なかなか気持ちを切り替えれないのに。
なんだかムカついて、気持ち良さそうに眠っている拓也の鼻を摘まんでやった。
「ームグッ」
拓也は鼻で息ができない代わりに、苦しそうに口を開けて、変な声を出した。
「ぶっ…」
それが面白過ぎて、俺は堪らずに吹き出してしまう。
狭いシングルベッドを大の字で占領している拓也の身体を押しやって、俺も隣に身体を横たえた。
(…誰のベッドだと思ってんだか…ホント狭いっちゅーの。)
狭いのを理由に、俺はピッタリと拓也の身体に寄り添った。
今夜のことを、拓也がどう思ってんのか、まったく分からない。
きっと明日の朝になったら、何もなかったように顔をするんだろうな。
でも、それでいいや。
これからは、ちょっとくらい拓也の新居にも遊びに行ってやろうかな。
それで、彩ちゃんに見つからないように、隠れてキスくらいしてやろう。
こいつはどんな顔するかな。
やっぱり困った顔とかするのかな。
でもいいや、今日の仕返しくらはしておかないと、俺の気が済まないし。
そんなことを考えていたら、なんだかちょっと楽しみになってきた。
気持ち良さそうに眠る、拓也の唇にそっと自分の唇を重ねてみると、微かに拓也が
身じろいだ。
これからもずっと俺は拓也の一番近い友達でいたいから、無理な関係は迫らない。
だから安心しろよ。
時々こっそり悪戯を仕掛けるかもしれないけど、それくらいは許せよな。
だから、今夜くらいは恋人みたいに、寄り添って寝てもいいだろ?
拓也の逞しい腕を、そっと横に伸ばして、その上に自分の頭を載せる。
自分の腕を拓也の腰に回して、ピッタリと寄り添えば、恋人同士みたいに思えた。
ーーこれからもずっと…幼馴染の関係のままでいいから。
今くらいは、夢を見てもいいよね?
朝が来るまででいいから。
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