それでも僕は、恋をする…。
03/[朝が来るまで](14/16)
―幼馴染/ML―
感じる部分を手探りで愛撫し合って、何度も身体の位置を変えながら交わすキスは、
言葉に出してないのに、確かに愛してると聞こえる気がする。
3年前に諦めたはずの想いが、大きく膨らんで溢れ出すのを留める術なんて、忘れてしまう。
伸ばした手に、拓也が指を絡めて強く握ってくれる。
絡め合った指に触れた、硬くて冷たいリングの感触に、少しの後ろめたさが頭を過るけど。
でも、このまま拓也が俺だけのものになればいいと思った。
彩ちゃんのことなんて、忘れてしまえばいいと思った。
腹に付く程猛っている、拓也の中心に、俺はこくっと喉を鳴らす。
俺に感じて興奮してくれている事がすごく嬉しい。
3年前のあの夜と違って、拓也は今、俺のことを愛してくれていると身体で感じる。
もう、お前を家になんて帰したくない。
狭いシングルベッドの軋む音が、激しくなっていく。
「…あっ…あぁ…たくやっ、」
もっと強く、俺の身体が壊れるくらい打ち付けて欲しい。
そう思っただけで、通じたように、拓也は深い処まで、何度も何度も激しく突いてくる。
「…七海…っ、」
切なそうな瞳で俺を見下ろす顔が、すげえ好き。
「…もっと…名前を呼んで…。」
七海と呼んでくれる、拓也の声が好き。
「…七海っ、…くっ…」
「拓也…っ、拓也が好き」
俺は、赦されない筈だった告白をもう一度口にした。
もう一度、拓也からもその言葉が聞きたかったから。
ーーだけど…。
**
「…七海さ、もう自分を傷付けるようなマネすんなよ。」
俺の腹の上に放った白濁をティッシュで拭いながら、拓也が訳の分からない事を言う。
「…なんの話だよ。」
「行きずりとかやめろよって話。」
それだけ言うと、拓也はベッドにうつぶせになった。
こいつは、小さい時からうつ伏せで寝る癖がある。
「…どういう意味だよ、それ。」
俺の質問には、誰も答えてくれなくて、虚しく暗い部屋の空間へ消えていく。
代わりに、拓也の規則正しい寝息だけが、聞こえていた。
「…拓也さ、今日あそこで会ったのって偶然だったのか?」
もうすっかり寝入っていて、俺の声なんて聞こえていない拓也に問いかけた。
勿論、応えが返ってくる筈もないけれど。
俺は、小さくため息を吐いて、そっとベッドを降りて、もう一度シャワーを浴びに浴室へ向かった。
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