新しい物語
[参ノ巻](1/22)
「・・・おい、とっとと食べたらどうだ。見ててイライラする。」
箸で摘まんだ物がポロポロと落ちてはまた摘まみの繰り返しで一向に進まない食事に働かない頭で苛々してしまう。箸を置こうと思った矢先の声で驚いて振り向けば声の主は晋作であった。ほっといて、と口を尖らせるも彼は早く食べちまえと施す。
「・・・もういらない」
「いらないって・・・カエデちゃん、全然手ぇ付けてないじゃないよ」
「―――っいらないって言ってるでしょ!」
今度は久坂に指摘され、むきになって言い返してしまい、言い返した後になって恥ずかしくなった。何をむきになってるんだ。我に返り、彼の顔を見れなくて、がむしゃらに手を動かすもやはり、自分の思い通りには動かせずにポロリと呆気なく箸から落ちていく。
ーーこの肉じゃがの人参が憎たらしい!ーー
けれども早朝なのか眠たくって仕方がなく、目はうつらうつらしてしまい、遂には手が止まってしまった。これでは赤ん坊と同じではないか、なんて頭の片隅で思うが手は残念ながら動かない。昔から眠たいと食事中だろうが関係なく眠ってしまう癖があった。
「お前、しっかり食っとけよ」
「・・・・・う゛ー、」
「・・・餓鬼かよ」
晋作にあれこれ言われつつも、人参はブッさして食べた
- 103 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[編集]
[←戻る]