CRISIS。
▽10.(1/21)
「もうそろそろ来るかな」
大学を卒業した俺は、迷うことなく県外の飲食店に就職した。
あの町には思い出が多すぎた。
忘れなくてはいけないに、どこにいってもたくさんの思い出が蘇る。
だから、地元を出ようと決意して、逃げるようにここに来た。
それから2年の月日が経った。
2年間、1回も実家には帰っていない。
帰ってもし、あの2人を見たら……そう思うと嫌で、何かと理由をつけて帰らずにいた。
会ってしまったら、きっとまた、好きが溢れてしまう。
2年経った今でも変わらず、日和のことが好きだった。
忘れようと、いろんな子と付き合ってみたりもしたけど、全く忘れられなかった。
ただ、虚しくなるだけだった。
そして、今日は仕事が休みで、俺が住んでいるマンションに翔と七世が遊びに来る。
ちなみに、翔と七世は同棲を始めた。
もうすぐ結婚するんだと思う。
俺はいまだに日和を好きなままで、本当に一生独身なのかもしれない。
部屋の掃除を終えて、ソファに座ってミルクティを飲みながら2人が来るのを待った。
ちなみに、ミルクティは日和が好きな飲み物だ。
何をしていても、日和のことばかり考えている……ばかみたいだけど、日和の笑顔を思い出すのが幸せだったりする。
未練たらたらだ。付き合っていたわけではないけど。
インターホンが鳴って、玄関へと向かう。
2人に会うのは、3ヶ月振りくらいかな なんて思いながらもドアを開けた。
「……っ、は?」
とうとう幻覚でも見えるようになったのかな、俺。
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