CRISIS。
▽7.(1/20)
「おはようございます、大和先輩!
昨日大丈夫でしたか?」
少し遠くから走ってきた七世が心配そうに聞いてくる。
昨日、って言うのはきっと日和のことだろう。
隠すことは七世を逆に傷付けると思ったから、昨日のうちにLINEをしておいた。
好きな人が具合悪くて心配だから休む≠ニ。
わかりました!≠チて来たけど、七世はどう思っただろう。
酷なことをしてしまったのかな。でも、隠して変に傷付けたくなかった。
「大丈夫だったよ、ごめんな、七世。」
「好きな人の側にいてあげたいって思うのが普通ですよ、先輩!!」
そう、明るい笑顔を見せる七世。
彼女も、きっと進み出したんだと思った。
「……ありがとう。」
「あの、先輩っ……
無理ならいいんですけどね?
先輩の好きな人に会ってみたい……ていうか……
前を向きたいんです!大和先輩の好きな人に会って気持ちにケリをつけて、ちゃんと翔先輩のこと見てあげたいんです!
……あっ、ちょ、いや、……翔先輩には言わないでくださいよ!?」
必死な七世に思わずぷ、と吹き出してしまった。
七世は、間違いなく進んでる。
翔のこともきちんと考えて。
そんな真っ直ぐな彼女に何回励まされたことか。
「いいよ。
でも、3人じゃお互いに気まずそうだし、翔も呼んで4人でどうかな?」
「はい!!じゃあそれで!!
ごめんなさい、わがままで……」
「わがままじゃないよ」
ただ、真っ直ぐで、誰よりも人のことを考えているだけ。
そんな誰よりも優しい七世。
「ちょいちょいちょい!!
2人で楽しそうに何の話ー!?」
そこに空気も読まずに翔が入ってきた。
七世が俺に向かって、人差し指を唇に当てて言わないでください≠チて言う意味であろうことを伝えてくる。
それに頷いてから、不思議がってる翔の肩を抱いた。
「七世と秘密の話してた。
……妬いた?」
「くっそ!!大和お前!!
俺の七世ちゃんになにを!!」
「先輩のものになった覚えはありませんよ!!」
「これからなるから大丈夫だって!!」
「……そ、そうですか……っ」
「そうそう!!……って、え!?どうしたの、七世ちゃん!!なんで否定しないの!?」
うるさい翔と、ほんのり顔が赤い七世。
2人がくっつくのも、きっとそう遠くはないだろう、なんて空を見上げながら思った。
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