CRISIS。

▽4.(1/20)









辛くて、苦しい。

胸が張り裂けそうなくらいに痛くて。



2人の幸せそうに微笑み合う姿がずっと頭から離れない。

ずっと、俺は邪魔者だった?いらなかった?



あぁ、なんで。なんでだろう。

痛い。痛い。






















「…お……くだ……ぃ……!」




「起きてきてください!!先輩っ!!」


「……、七世……?」


いつの間にか寝ていたらしい。

目の前には不安げな顔をした七世がいた。


「鍵も開けっ放しだし、うなされてるし、泣いてるし……どうしたんですか先輩……」


「なな、せ……」


怖くて、苦しくて、悲しくて、寂しくて。

人のぬくもりが恋しくて彼女を抱き寄せた。


「先輩、大丈夫です。
なながいますよ。大丈夫。」


彼女は抱き締め返してくれて耳元でそう言った。


「……辛いんだ。苦しいんだ。
だけど、好きなんだ。」


「ななも全く同じです。」


「七世のことを好きになれたらいいのに。」


「悲しくなるからそんなこと言わないでくださいよ!」


彼女は笑いながらそう言う。


「わかってますよ。
嫌いになりたくてもなれないんですよね。辛くても、苦しくても。」


「そう。出来ることなら嫌いになりたいんだ。
俺は邪魔者でしかない。」


「先輩、溜め込まないでください。
ななのこと、頼って下さい。」


そう言った彼女にキスをされる。


「ずるいですよね、先輩が弱ってる所に漬け込んでます。」


「ずるいのは、お互い様だよ。」


どちらともなくキスをして、舌を絡め合う。

彼女の声が、吐息が、俺を安心させる。





寂しさを埋める為に七世を利用している俺の方が、きっと七世より何倍もずるい。












- 54 -
前n[*][#]次n
bookmark
/266 n


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[🔙]