モブ側ラブストーリー
[ヒロインカッコワライ](1/17)
一番気に食わないのは、嫌じゃなかった、ということだ。
少女漫画で見てたほど夢のあるようなものじゃなかった。
ただ唇が触れた、って、それだけ。
それだけなのに、何故こんなにも顔やら胸の奥やらが熱いのか。
部屋に入って、胸を押さえてしゃがみ込んだ。
無理だ、この感情はアレだ。認めざるを得ないのかもしれない。
私は里山のことが嫌いではない。
多分、朝日の言う通りだ。
つい最近まであんなに朝日のこと好きだったはずなのに、いつの間に里山なんか。
あいつ本当に人のことブスしか言わねえし、顔くらいしかいいところないのに。
「……あぁぁあ」
また里山の感触を思い出して、1人で絞り出すように声を上げる。
その後、ご飯を食べてもお風呂に入っても、顔を洗っても歯磨きをしても、あの感触を思い出す度に胸が苦しくなった。
いや、これは余韻とかではなくて、ただただ衝撃すぎたから消えないだけだと思いたい。
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