モブ側ラブストーリー
[なりきれない系](1/19)


その日は逃げるように家へ帰った。


次の日の学校は、朝日をこれまでにないくらい避けて、

まあ、一度も朝日の方から話しかけてくる様子もなかったし、視線も感じなかった。だから避けるもクソもなかったのだけど。

どうせ私のことなんて朝日はそれほど気にしていない。


そう思っていたから、夜、朝日が私の家を訪れたのは、驚いた。

ピンポンと鳴って、お母さんは今お風呂に入っているし、こんな時間だし、無視してやろうと思ったのだけど。
もう一度ピンポンとインターホンを鳴らされ、仕方なく通話ボタンを押した。

「はい」


『あ、朝日光弘ですけど、宮し……ふみちゃん、いますか』


……!?」


ふみちゃんとか、呼ぶなよ。

意外とキュンとしたのが悔しい。
言葉が喉につかえて、上手く出なかった。


「い、いません」


………いや、宮下の声じゃん』


インターホン越しなのに私の声だと分かってくれるのとかも、悔しながら嬉しいと思ってしまうんだよ。


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