モブ側ラブストーリー
[ブスよりのブス](1/14)


「ブスの瞳に恋することもあるんだって」

「いい加減私がブスってことを前提にして話すのやめろ?」


休み明けの朝。いつもより早く教室へ着いて、マリコに「里山は私のどういう所が好きなんだと思う?」と問いかけてみた。

そして帰ってきた答えが、これだ。


私ブスか?そんなブスか?
自分では中の中の下くらいだと思っているのだけど。自分で思ってるより私ブスなのか?


「まじで里山の顔見てみたいわ」

「見せてやりてえ〜、顔は本当にかっこいいよ」

顔、は。

口悪いし性格も曲がりに曲がってるよ。


「写真撮ってきて」

「それは難易度高すぎ」


マリコが里山を見たら、絶対「何であんなかっこいい人がお前のこと?」って言うよ。絶対言うよ。


「ちょ、どいて宮下」

「おはよう山田くん。今マリコと大事な話をしてるから席を外せないの」

「大事な話なんかしてないでしょ、さあ戻れふみ。ハウス!」

「犬扱いすんなマリコ」

小テストの勉強したいからまじでどけって」

「山田くんが鬼のように冷たいのは、私がブスだからでしょうか?」


ちょっと席を借りていただけなのに。

席に着いた山田くんは何も言わず単語帳を開く。なるほど、それが答えか。


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