モブ側ラブストーリー
[『じゃない方』じゃない方](9/9)
「マリコォオオオオ!!!助けてえええ」
帰宅してすぐ、マリコに電話を掛けた。
『………うっるさいなあ、何』
どうせ朝日のことだろう、と言う彼女に、電話越しで見えるはずないが横に首を振る。
「違う、いや、朝日のこともあるけど。なんか里山がぁ…」
昨日の出来事から、今日の里山の一言も。
全てマリコに話すと、マリコは少し黙ってから、また口を開いた。
『里山、まるであんたのこと好きみたい』
「…………はぁ?」
『話を聞いてるとそんな感じ』
「いや、ええー?でも里山私のことブスしか言わないし」
『ブスの瞳に恋することだってあるよ』
「おい私がブスってこと肯定すんな」
里山が私を好きぃ?んなこと有り得なくないか?だって好かれる心当たりも、好かれてる心当たりも無さ過ぎて怖い。
好きな子ほどいじめたくなる的なヤツだとしたら度が過ぎてるし。
『とりあえず、私明日朝早いから寝るわ。また学校で話聞かせて』
「え、もう切るの?」
ブチッ
「……」
ゴールデンウィークということで、マリコは明日から彼氏と二泊三日の温泉旅行に行くらしい。「二泊とかいやらしいー!」「温泉とかいやらしいー!」と何度叫んだことか。
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