モブ側ラブストーリー
[『じゃない方』じゃない方](1/9)
翌日の学校はずっとポケーーーっとしていて、山田くんには失恋を疑われた。
失恋なら少し前に済ませてるっつーの。
朝日とはなんか気まずくて、おはようしか言ってない。朝日と話せないなら学校来る意味ないじゃん、朝日がいるから、学校来てるのに。
授業中、教卓の真ん前に座っている朝日は自然と私の視界に入るから、その度にモヤモヤしては俯く。
ホームルームが終わって、先生が「珍しく大人しいけど大丈夫か?」と聞いてきたから、「いいえ」と返した。大丈夫なわけあるかよ。色々ありすぎてパンクしてるんだよ、修理に出す余裕も無いんだよ。
「……ふみー!バイトじゃないの!?」
家へ帰って、バイトへ行きたくなさすぎるあまりベッドで行きたくない行きたくないと1人でゴネていると部屋の外から母の声。
「………うん」
「何時からよ?間に合うの?早く起きなさい」
「………うん」
バイトへ行きたくない理由。それは、もちろん里山にある。
シンプルに会いたくない。
どんな顔をしてどんな態度で何を話せばいいのかわからない。
抱きしめられた時の感覚を思い出すと、また胸がサワサワとして、しんどい。 やだ、行きたくない。
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