モブ側ラブストーリー
[できれば好かれ隊](1/14)
「おはようございます」
今日は開店時間の11時に出勤。
恐る恐る更衣室の扉を開くと、すでにオープン準備を済ませてコーヒーを飲んでいる店長だけがそこにいた。
「…あれ、里山…さん、今日も休みですか?」
「ああ、里山くんも森ちゃんも今日は研修で本社に行ってるの、…なに?会いたかったの?」
んなわけねえだろ。
ニヤニヤとこっちを見てそう言った店長。いや、んなわけねえだろ。あいつにいじめられてるんだぞ私。
「…はは、そんなわけ」
「里山くん結構、宮ちゃんのこと気に入ってるのよ」
…えっ!?
「ええっ!?」
「そんな目ん玉大っきくして、ふふ、里山くん良い子だし、仲良くするのも良いんじゃない?」
ふふふ、と1人笑いながら片手にコーヒーを持って更衣室を出て行く店長。
私は固まって着替えることを忘れていた。
嘘だろ。
気に入ってるとは?嘘だろ?
里山くん良い子?嘘だろ?
気に入られている心当たりなさ過ぎるんですが。里山が良い子とか思い当たる節なさ過ぎるんですが。
「ブス」「ガキ」「ジロジロ見んな」「ブス」「話しかけんな」「抱いてやんねえ」「ブス」
……絶対気に入ってないじゃん。どう考えても気に入らない人に対する態度だよ。良い子が使う言葉じゃないよ。
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