華麗なる殺人
†[エピローグ](1/1)




悪い人間と言うのはいつの時代も存在する。


人の命を何とも思わない、悪魔に魂を売ったような人間がここにも一人。



「……みんな死ねばいい」


意中の女性にフラれ、男は激情に駆られていた。


バイトの面接にも落ち、父親に“穀潰し”と罵られた。


何で俺だけが不幸な目に遭わなければいけないんだ?


あー、クソ……。イライラする。


男はポケットの中に忍ばせたサバイバルナイフを握りしめた。


誰か、誰でもいいから傷つけたい。


血を見たい──。


誰の血にする?


うるさい父親か、それともあのベンチでイチャついているバカップルか。


ん、待てよ。


男の視線が制服姿の少女に釘付けになる。


自分を手酷くフッたあの女に雰囲気が似ていると言うだけで、怒りと欲情が込み上げてきた。



……よし、決ーめた!



男はニヤリと笑うと、帽子を目深に被り直した。


少女はまだ、自分の身に危険が迫っていることを知らない。



「あのー、すみません……」


背後から声をかけられ、振り向いた少女の運命は──。


キャットとジラフのようなダーク・ヒーローは、この街にはもういない。




【END】




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