切ない切ない恋物語
*[待つ女の子](1/1)


人気のない道

光る街灯



そんな所に佇む人がいた

いつも泣いている人



「りん。帰ろう?」

僕は声をかけた。



「もう少しだけ。」

りんは待っている。



「しゅんは
もういないんだよ?りん。」



りんは頷いた。

「わかってるよ。
でも今日は
ここにいたいの。」



「どうして?」

僕の質問に
りんは震える声で答えた。



「今日で一年なの。」



沈黙が僕らを包んだ。
少しして破ったのは
りんだった。



「一年の前日に
しゅんを連れていくなんて
神様は残酷だよね。」



「そうだね。」



「ねぇ?しゅんは
私のこと好きだったかな?」



「過去形じゃないと思うよ。
しゅんはずっと変わらない。」



「そう…よかった…」






「一年記念日は
ここで待ち合わせって
約束したの。」



「うん。」



「待ってるの。」



「うん。」



「でも来ないんだよね?」



「うん。」



「泣いても変わらないよね?」



「うん。」



「一人で
歩いていけるかな?」



「無理そうになったら
支えてあげるよ。」



「ありがとう。」



待っている女の子



悲しくて悲しくて

泣いていた



僕はそんな君を

待っている



違う人を待っている君を

いつまでも待ち続けるよ





End

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