よそよそしい肌色




“まぁくん”

カノジョはボクのことを

デフォルトのあだ名みたいな呼び方で呼ぶ

丸い舌を甘ったるい形にして

女の子はマシュマロで出来ているの

なんて空想みたいな理想みたいな

そんな話ばかり



絶世の美女

までとはいかないけれど

カノジョはいつも頬をピンクにして

かわいい顔をしていた

足りないところはあったけれど

絶対に他人の悪口は言わないし

ボクに向かって

“まぁくん、大好きよ”

会えば必ず言ってくれた

そんなところが大好きだった






おしゃべりで

若さが永遠だと信じていて

加減知らずで

よく両肘を切って

“まぁくんのためなのよ?”と

当たり前みたいに言ってくる

ボクは切った理由を知っていたけれど

知らないふりをしていた

つくづく女の子って大変だと思った



愛されていて

無知で

少しだけ

ほんの少しだけ脆かったカノジョ







ボクはまだガキで

深い思慮も

経験もないけれど

涙が出ないほどの悲しみって

本当にあるんだね

もうその小さな口で

“まぁくん”って

呼んでくれないんだね




「でもこれで、キミが信じていた若さは、
永遠のものになったね」












おしゃべりだったカノジョも
骨になる



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