裏表依存症
久里浜≡戸部 10
俺は久里浜 和志 《完》 (1/21)



先輩に愛想を尽かされて約3ヵ月が経った。
もういろいろ考えるのは止めることにして自分を誤魔化してたけど、体は正直で会わなくなってから1ヵ月くらいから元々弱い胃に打撃がきて胃痛が酷い。

今日も午前中に痛んで昼飯もろくに食えなかった。
定時近くなってまた痛んだので胃薬を取りに会社の個人用ロッカーに向かった。

鍵を開けてロッカーの扉を開くと扉に備え付けてある鏡に黄色いポストイットが貼ってあった。

ロッカーの鍵は会社から1つ支給されるのだが、先輩と俺は1度無くしたと思って新たに支給してもらったけど引越しや片付けでふいに出てきた鍵を持て余してた。
そこで1つは交換していて、お互いのロッカーの鍵を所持していた。


『今夜、伺わせて下さい。』


文字が道具になって、見たそのままに頭を突き抜けた。
衝撃で半歩後ろによろめいてしまった。

先輩だ。

あまりに突然だったからしばらく立ち尽くして奇麗な字で書かれたその文を何度も目で確かめた。


間違いなく先輩だ。


手の末端が痺れ出して震えてきた。
足も血の気を失ったように力が抜けて、後ろ手に背後にもあるロッカーを探って手がロッカーに触れた途端派手な音をたてて尻もちをついてしまった。

今までしまっておいた嫌な妄想が一気に押し寄せてくる。






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