ガラス
[異変](1/5)
学校に着いて、サオリとユウコと話しながら上履きを取り、右足を入れてかかとをグッと押し込んだ瞬間、ミユキのかかとに痛みが走った。
「いたっ!」
ミユキはよろけて靴箱に体をぶつけるようにして倒れかかった。
そのまま靴箱にもたれかかり、ミユキは右足から上履きを外して後ろに持ち上げ、痛みが走るかかとを見た。
持ち上げたかかとの真ん中あたりに、小さな光がちらついている。
「ミユキ?どうしたの?」
サオリが驚いた顔でミユキのそばに駆け寄ってきた。
ユウコは、ミユキのかかとに光るものを見つけて、「やだ、何?」と怯えている。
ミユキは光るそれをかかとから取り除いた。
それはミユキの紺色のソックスを突き抜けて、ミユキのかかとにしっかりと刺さっていたので、それを取る時にミユキは肉から異物を引き抜く痛みに顔を歪めた。
紺色のソックスに、じわりと血が黒い染みを作る。
「ガラス…?」
ミユキが痛みに耐えてかかとから引き抜いた異物は、ミユキの血に赤く染まった小さなガラスのかけらだった。
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