旧図書館の住人は
[第一章 旧図書館の消火栓](1/44)
東京都にある、とあるオンボロ大学の打ち壊し寸前の図書館にて。
ここにただ一人、常連客がいつものように慌ただしく古い本を漁っている。
名は有原祥子(ありはらしょうこ)という。
彼女の通う大学は古さに反比例したマンモス校であり、専門学科の数が多数あるため
2年前にいくつもの新設備が投入された新図書館が建てられ、キャンパスの東側に悠々とそびえ立っている。
大学生は古い図書館ではなく、この新しい図書館を頻繁に使うようになり、祥子にとってこの古い図書館は絶好の穴場となったのだ。
生徒がほとんど使わなくなった旧図書館がこの2年間取り壊されない理由は、生徒たちの間で様々な説話となって吹聴されているが
全うな理由は何処でも語られることは無かった。
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