藤宮家select

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生まれた時から
僕には兄が4人居た。

それも『特上』の兄が。



長男は『伝説』と呼ばれた
完璧主義の生徒会長。

次男は『無敵』の無法な秀才。

四男は『アイドル』のように
華やかなオーラと笑顔を持ち

三男は『堅忍不抜』
掴み所のない水面のような人だ。

その末っ子が、僕。

もう、何にも残されずに
生まれてきた。

それどころか、僕は
そんな兄達から……
大切なものを奪った原因。



特に目立つこともなく
特に邪険にもされず

『弟』『末っ子』を
当たり前に受け入れていた。

そこに、兄が一人増えた。

その人は、僕を……
僕達をあっという間に、変えた。



『変えた』と言うより
『変わりたいと思って変わった』

本当の自分に
探していた自分に
隠していた自分に
抑えていた自分に

知りもしなかった自分に。



『陽向君のことが大切だから
怒ったと思うんだよね。

だから、許してあげない?』

あの優しい声と

『うん、エライエライ』

温かい手の平に
僕は恋をした。

ブワッと吹き込んだ
爽やかな風のようだった。



『兄』と思うより先に
『好きな人』になった。

兄さん、なんて思えない
弟だなんて思ってほしくない。

今まで受け入れてたことが
途端に嫌になったんだ。



目立たないかもしれない。
ずば抜けてないかもしれない。

だけど、僕は優希さんが
……好きなんですっ‼

笑って誤魔化さないでくださいっ。

ちゃんと僕を見てほしい。



初恋は実らないなんて
僕は絶対に信じない。

だから……
年下扱いしないでよ。

本気なんだから……



僕、あなたが好きです。




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