藤宮家select

→[select 陽人](2/73)

(1840Pからの続きとなります)



「ずみ゙、ま゙せん゙」

プロポーズされたことを
悩みすぎたんだろうか……

久しぶりに熱が出てしまった。



「いいよ、いいよ。優希君は
いつも頑張ってるんだから」

「そーだよー。ユッキー寝てなよー」

大丈夫大丈夫と起き上がる僕を
ベッドに倒してくれるアッキー。

「喉渇かない?」

心配そうに覗き込んでくる
陽人さんにコクンと頷いた。

「……優希」

ドアの横に立ってる愁生さんに
手の平を向けて

「模試近かったですよね?
伝染すと悪いんで」

そう伝えると、微かに
申し訳なさそうに頷かれた。



申し訳ないのは僕の方だ。

万が一、皆に伝染しでもしたら
ただでさえ迷惑なのに、もっと
迷惑かけちゃうじゃないか。

それだけは避けたいと思いながら
風邪菌飛散防止のマスクをしつつ

「ケホッ……ケホッ…大丈夫ですから」

そろそろ本当に伝染しちゃう。

出た方がいいよ、皆。

「陽人さんは本邸から
呼び出されたって。
アッキーは撮影でしょ?」

僕のことより、用事あるよね?



「そうだけど……」
「でもユッキーが……」

眉を下げた2人がベッドから
離れようとしない。

「僕なら、大丈、ケホッ、ぶ」

「大丈夫じゃないじゃーん」
「大丈夫じゃないよ」

険しい顔した2人に笑顔を
見せると、泣きそうになって

「時間でしょ?……ね?」



そう言った僕をチラチラ見ながら

「早く帰るからね」

「ユッキー寝て?今すぐ寝てーっ」

そんなことを言いつつ
部屋から出て言った。

心配かけちゃったな……

加湿器だとか飲み物が置かれた
テーブルに目を落としながら

「はぁ……」

溜め息を一つ。



「幸嗣さんにも、悪いことした」

そう開いた携帯。

[mail:気にすんな。お大事に]

届いた返信を見ながら
ごめんなさいと目を閉じる。



実は今日、前に誘われた
敵情視察の約束をしてたんだ。

溜め息が多いって言われた日

「気晴らしに出掛けるか」

そう言ってくれて。

幸嗣さんの心遣いが
ジンワリ温かくて嬉しかった。

せっかく誘ってくれたのに……



「ケホッ……ケホッ」

なんだか、ボンヤリする。

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