egoisming!


#2:スウィートな罠(1/14)






確かあれは、悲惨な出会い方をして、3ヶ月経ったくらい。


霧島詠斗の連絡先が私のスマホに入ってしまったことにより、毎日嫌でも目に入るその名前。加えて、そのトップ画像が誰かに撮ってもらったであろう横顔。さらに言えば、2日に一回程度くる、霧島詠斗からの連絡。

これら全てに私は怯えていた。というより、このもの自体ではなく、霧島詠斗のファンに怯えていたのだけれど。



彼からの連絡といえば、くだらないことばかりだ。例えば、バイトはなにしている、住んでいる地域はどこだ、好きな食べ物はなにか__、そんな程度の中身のないような会話。

しかも、連絡してくるくせに、既読無視をかましてきやがる。なんとも嫌味なヤツ。絶対に好きになるもんか、こんなヤツ。日に日に嫌いになっていく一方だった。だから小さな抵抗として、時には私も既読無視してやった。

そんな日々が続く毎日。バッタリと、またしても学校で出会ってしまったのだ。



『あれ、伊摘ちゃん。学校で会うのは久しぶりだね』
できればお会いしたくなかったです』
『今から帰り?』
『そうです、次の時間休講になったので』


なるべく避けていたのに、どうしてだ。私はまだ1年生だから全休もつくれず、ひたすら毎日学校へ通っていた。一方、彼はもう3年生だから、全休もあったし、授業もかぶっていなかったのに。あぁ、神様はなんて意地悪なんだ。


『じゃあ一緒に昼飯食いに行こ』
『__は?????』


思考が追いつかなかった。なにを言っているんだ、こいつは。










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