#1 : エゴイストな彼(1/15)
別に、今に始まったことではない。彼は、霧島詠斗(きりしまえいと)という男は、こういうヤツ なのだ。
「あ〜そうですね!行きましょう!うんうん、お買い物しましょう!なんなら私奢りますし!?」
「アホか、なんでいづが奢るんだよ」
ぽふっと頭に手を置かれて、髪の毛をくしゃっとされて。プラス、ふっと口角だけをあげて微笑なんて私の大好きな表情をかましてきた。
「…あの、今の顔写真に収めて良いですか?」
「有料だけど?」
こうして彼の飄々とした態度をうまく受け流せるの、この世でナンバーワンだと思う。自称ね。
__好きだ、ほんとに好きだ。でも、
「いづ、今日伊織(いおり)さんいるの?」
__ほら、ね。
「ああ、えっと、もう家にいると、思います」
「マジ?じゃあいづ送ってくついでに会ってもらえるかな」
「はい、行きましょうか」
彼の心にいるのは、私じゃなくて、いつだって、伊織お姉ちゃん≠セから。
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