俊亮の親戚が失踪しやがった
  見えない優しさ (1/16)


ヨギ『お姉様…私達の力を受け取ってください』

アン「あんたら…どうして…」

モナ『私達たちは倒されて封印されました…けど意識だけここへ…』

アン「けど、私が何やってるかわかる?!」

キナ『四神も魔界もどうでもいいんです。私たちは今も昔もお姉様だけを信じます』

アン「あのな、そんなことしたらあんたらサタンに…」

ヨギ『いつだって私達に手を差し伸べてくれたのはお姉様だけです。なのに私達はお姉様を助けられなかった…』

キナ『私達を育てるために昇格試験受けて悪魔になって…どんどん魔界に利用されていくお姉様を本当はそれでいいのか私達は疑問でした』

モナ『お姉様の意志なら従うしかない。けれど…お姉様が選んだ道ならと黙っていましたが、本当はお姉様違いますよね?私達にはわかります。ずっと側で見てきたんですから…』

アン「あんたら…」

ヨギ『でも今後悔してます。本当に大切なら咎めても…正直な気持ちを話せばよかったと…』

キナ『お姉様、この力を与えたら私達はもう存在しないものとなります。どうか…ご自分の気持ちに正直になってください。そしてどうか私達がいたことを忘れないでもらえたら…』

アン「待った!まだ何か方法がある!早まるな!こんなことで命を無駄にするな!」

モナ『最期に…お姉様の声が聞けて本当によかった…今までありがとうございました』

3人が身を寄せ合ってアンの体を抱きしめた。

3人『大好きです、お姉様』

3人の体が霧となりアンの中に吸収されていった。

体が動かせる。
ダルさも疲れも痛みもない。

けれどこの胸の強い痛みはなんだろう。

アンの目から何かが溢れた。

私がしてきたことで同じような胸の痛みを抱えてきた人たちがどれくらいいるのだろう…

アンは体を起こすと指を鳴らした。

たくさんの針が見えない敵に刺さる。

涼香「そこか!」

涼香が針を頼りに魔物を全員破壊した。

修羅『ここまでです!』

修羅がこん棒を床に叩きつけると、魔物たちの下に陰陽マークが表れては地面に吸い取られていった。

所謂封印である。

俊亮「とりあえず終わった…」

俊亮は体力的というより気疲れでその場に倒れた。

涼香「ありがとう、アン」

修羅『本当にありがとうございました。貴方のおかげで』

アン「舎弟の3人が最期に私に力をくれたおかげだよ」

涼香「舎弟ってあのお姉様って言ってた女の子たち?」

アン「私なんかのために命を譲るなんて…そんなこと誰が教えたんだろう…」

3人はどう声をかけたらいいのかわからずにいた。

するとアンが顔を上げた。

アン「修羅、思い出したよ、私の本名」

修羅『はい』

涼香「そうなると悪魔から人間に戻るってこと?」

俊亮「そうだな。いや悪魔ではもうないよ。悪魔が涙を流すことなんてできない。あの時に悪魔ではなく魔界の住人に戻って、今人間にもどろうとしているんだよ」

修羅『どうかお教えいただけますか、貴方の本名を』

アン「桐島ほたる」




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