【接触】
「ふー、地球ってのは、すげーな。情報操作にこんなに時間が掛かるとは思わなかったぞ」
「まだ、完璧じゃない。“結城愛”という女が例の現場を目撃しているようだ」
タブレット端末を操作しながら、二人の男が話し合っている。
二人がいるのは、とある学生寮の一室。
空き家となっていた所にこっそり居を構えていたのだ。
「あの天使になった男…、真静玲というらしいな…」
「んー…男にはキョーミなーし。それよりそのアイちゃんって子可愛いのか?写真ある?」
「全く…任務に私情を挟むなといつも…ん?!」
タブレット端末を操作していた男の一人が、表情を険しくする。
「これは…?!」
「なになに?どーした?写真あったのか?」
「マズイぞ…この女…真静玲と今まさに接触している所だ!これ以上何か勘付かれると、記憶操作でどうにかなるレベルではなくなる…」
男はタブレット端末の電源を切り、壁に掛けてあったコートを羽織る。
「おい、早く支度しろ。この女に何とか接触して、真静玲がボロを出す前に、記憶を操作する」
「お、その女の子に会いに行くのか?へへへー楽しみだなぁ。どんな可愛こちゃんなのかなー」
微妙にズレている二人が夜の街に繰り出す。