はんぶんこ
[新たなスタート](1/25)

父親に母親を任せ、あたしは帰宅する。
帰りがけに、また

「今後のこと本気で考えておきなさい。」

と父親に言われて、あたしは考えていた。
正直また学校には行きたい気持ちはある。
だが将来何がしたいのか、までは
まだ分からない。将来の夢、が思いつかない。

みんなは高校に入るのに将来を見据えて
決めているのだろうか
相談するにもあたしには友達がいない。
あたしが相談するのはやはり祖母。

「将来の夢が明確な子の方が少ないと思うよ。
高校後の進路の時に考えるんじゃないかしら。

歩奈はただ勉強したいのか
少しでも専門な事をしたいのかどちらなの?

今は高校でも、音楽や美術を沢山学べる所や、
家政科みたいな所もあるでしょ?
工業系も、今は女の子でもいるんでしょ?

普通科か専門科か、そこからまず
考えてみたらどうかしら?」

祖母は流石、人生の大先輩だ。
確かに、高校は普通科と専門科がある。
そのどちらにするか専門科の中で
何か興味を持てるものがあるか
そこから調べてみようと思った。

あたしは今まで、自分に興味がなく
何をしたいか、とか考えた事もなかった。
高校もN高は渚先輩がいたから
S高は単に近いからで選んだ。

どちらも普通科で、ハイレベルではないが
進学校で、高校の先はほぼ大学進学だろう。
あたしの成績はその中でおそらく平均。
飛び抜けて得意な事はないし、苦手もない。

「歩奈は背も高いし美人だし、おばあちゃんは
モデルさんになれると思うんだけどねぇ。」

祖母はそう冗談っぽく言う。

「あたしなんて無理だよ。背が高いって
言っても168だよ?モデルって170超えでしょ。
今は小さい子もいるだろうけど個性があるし。」

あたしは苦笑して返すが、

「何言ってるの、あなたは人を惹き付ける
そんな魅力のある子だわ。自慢の孫よ。」

祖母はそれでもそう褒めてくれ、
あたしは照れてしまう。
それを聞いていた弟が、横から

「ばあちゃん、あゆなが困ってるよ。」

と笑う。




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