この手に指輪がある限り
4・[怪盗とメガネ](2/5)
「ひいっ…!」
優しいのに強引に腕をつかむそいつの力と、驚きで私は悲鳴をあげた。
私の腕をつかんだのは、いい身なりをした若い男。
田村ぐらい身長が高く、顔も何かの彫刻みたいに綺麗だ。
「…まさか指輪にこんな素敵なお嬢さんがついているとは。
青がよく似合う。サファイアのような女性だ。」
「…は、はあ!?あの…失礼ですがどちら様でしょうか?」
「ふふふ、今は君にも正体は明かせないな。すまないね、僕のサファイア。」
「…サファイア…。まあ、そんなに興味は無いんですけど…」
なんだかこの男、やりづらい。
ロマンチストでナルシストな匂いがする。
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