この手に指輪がある限り
4・[怪盗とメガネ](1/5)
「きききき緊張する…」
「大丈夫よルイちゃん〜!めぐみんも一緒についててあげるから。」
指輪の御披露目のリハーサルを繰り返すこと少時間。
ついに御披露目会兼パーティーが華やかに幕開けた。
この、私がいる舞台裏の向こうで。
田村や田村父は今、財界の偉い方々と楽しげに談笑しているらしい。
「こういうのも仕事のうちなんでな。緊張してる時に近くに居られなくて悪いな」と言って田村はさっさと会場に行ってしまった。
別に田村が居たところで、緊張するものには変わりはないのに。
そんなこと言われたら、
まるで…私には田村しかいない!田村そばにいて!って私が望んでいるみたいではないか。
腹が立つ。
舞台の向こうから響く、上品なグラスの音。
笑い声。
私にはなじめない世界だ。
「あ〜!めぐみんも、ちょっとカンパリソーダを一杯だけ〜飲みたい〜!我慢できない〜!」
「ええっ!めぐみん!めぐみんがそばにいてくれないと怖くて待機できないよっ!」
「ちょっとだけだよお〜!御披露目までにはすぐ戻ってくるから〜」
「めぐみんコラァァア!」
「ごめ〜ん!」
そうして、めぐみんは会場へと消えていった。
私は舞台裏で一人…
の、はずだったのに。
「…へえ…今回の田村グループのお宝は素晴らしいな…」
誰かが背後から私の腕をつかみながら、そう言った。
- 38 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[←戻る]