この手に指輪がある限り
1・[指輪がはずれない](1/7)
「ルイ!ちょっと手伝え!!」
「何、もうお父さん!せっかく学校が早帰りだったんだからゆっくりさせてよー…」
「今日は大事なお客様が来るんだよ!とりあえず、その辺ピッカピカに磨いとけ!」
父・龍二がボサボサの髪を整えながら、店の玄関先を指した。
ったく、しょうがないなあ…と私は立ち上がってほうきを持った。
「今からそんな慌てたって、この散らかり具合じゃ、片付かないでしょ…」
「なんとかするんだよ。」
「なんとかするって、父さんいっつもそう言って私まかせじゃない!」
私はそっぽを向いて掃除に集中した。
おびただしい砂ぼこりや紙くずが出てきて、うんざりする。
私の父さんが営んでいる店は、『ロマン堂』。
日本はもちろん、世界各地から集めた珍しいものを売っている。
例えば、
石膏で作ったバカでかい怪物の彫刻。
古代の伝説が書かれた古い書物。ちなみに臭い。
なんとかかんとかっていう人が書いた女の人の絵。
ムッキムキの昔の兵士の銅像。
そんなのばかりを集めて売っている。
父さん自身、こういうものを集めるのが大好きで、こういう商売を始めたらしい。
好きな人からすれば、素晴らしいお宝なんだろうけど。
私みたいな、興味ない人間にはただ邪魔なだけ。
しかも、こんな田舎でこの商売やったら、余計に売れない。
だからお客様もそう毎日来るはずもなく、生活はギリギリだ。
だからだろう。
きっと今日来てくれるお客様は、お金持ちで、何か高価なものを買ってくれる契約をしたんだと思う。
あの父さんのはりきり方を見てると。
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