第8話[ カレシ的決め事](1/4)
【8】
平静を装い会話を楽しんでいたつもりだったが、そう思っていたのはナオだけだったのだろうか、ミヤトが急に足を止めた。
「……ナオ?お前やっぱ何かあった??」
そう言って顔を覗き込んでくるミヤトの瞳があまりにも優しくて、ナオの胸はぎゅうっと締め付けられた。
「……え、えっと………」
口に出してしまいたい……けれども簡単にはそう出来ない複雑な想いで、息が詰まりそうになる。
思わず目頭が熱くなるのを感じ、唇を噛みしめ必死に堪える。涙がこぼれてしまわないよう、わずかに目を伏せる。
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