[ プロローグ](1/3)
相沢直(あいざわなお)、17歳と2ヶ月。
膝上20cmのスカートに、黒のハイソックス。胸の辺りまで伸びる、栗色のストレートヘア。どこにでもいる平凡な女子高生だ。
ナオに生まれて初めての彼氏ができたのは、3週間程前のこと。
それまで、恋に恋する恋愛初心者だったナオの、初めての彼氏というのは…
学校1のモテ男・神埜宮人(こうのみやと)、17歳と7ヶ月。スラリとした長身に、端正なルックス。さらには父親が新進気鋭のDJで、自らもDJとしてライブハウスやクラブで活躍中…というおまけ付きで、学校ではその名を知らない者はいない、有名男子高生だ。
ナオの、彼への第一印象は最悪だった。
というのも、ナオと付き合う以前のミヤトは、俗に言う“ヤリチン”で、短期間で相手をとっかえひっかえ、“来る者拒まず去る者追わず”と言わんばかりに自堕落な交遊関係を繰り広げていたからだ。
それまでキスはおろか、一度も男女交際の経験がないナオにとっては、彼の生き方は断固として認められないもので、“女の敵”だと毛嫌いしていた。
“世界中の女の子があいつに手玉に取られようが、あたしは絶対引っ掛からない”
それが、ナオが常日頃公言していた台詞だった。
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