男の娘みたいな探偵みたいな人と、少年少女が詐欺事件について考える話(1/28)1章
□第1話 男の娘みたいな探偵みたいな人
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「不思議なことに、始まったのは、後からなんです」
少年は、そう言って僕を見ていた。
僕が彼を『受け入れる』かは、面白そうかどうか。ただそれだけにかかっている。
「後から、とは」
「彼女よりも、後なんだよ。これは確実なこと」
タブレットとやらで知らない誰かのひとつの本を示しつつ、彼は目の前に差し出した本をこちらに渡した。発売日が後、とのことらしくて発行年数が比べられていた。
2012年より前には既に始まっていて、続いていたものに関連して出された作品と――
2013年から初版が出たもの。
2012年より以前からの方は読んでいた。
『あの人との出会いは私の秘密だ』としめくくってある。なんだか感想に悩む不思議な話だったような気がする。
そしてその後に、違う会社を通して発売されたのが『月の無い暮窓』という本。今目の前にあるそれ。内容はあの人、をもろにネタバレすれすれで描くかのようになぞられた話だった。
二つの共通点から、作者は同じではないかと世間で言われたようだが。
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