心臓に消えない痣を
[プロローグ](1/1)
瞼を閉じればいくつもの笑顔が浮かぶ。
いっそ貴方の手を握ったまま死ねたら。苦しみの中でそう願ったこともあるけど、
貴方に映るわたしだけはどうか、綺麗なものでありますようにと祈ったこともあるけど、
絶望ばかりじゃないよ。私は幸せだった。
だってあなたに会えた。
それだけで私、生まれてきてよかったと思えた。
あなたも生きてね。
最期に、幸せだったと笑えるような人生を、
どうか、どうか。
最後に振り絞った声は届いただろうか。
「_________、」
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