先生のお好きなように


3.先生が好き(1/17)






学校に先生が迎えに来てくれて皆に冷やかされたらどうしよう!

なんて妄想は先生からの「少し遅れる」ってメールで消え去った。

デパートで待ち合わせと言われたけど…駅から見えてたデパートは歩いて行くと何故か見えなくなって…



「ここ…どこ?」



あんなに大きな看板も見えてたのに!

先生に早く会いたい気持ちと焦る気持ちのまま駅を出てから30分以上歩いている。

駅前にあるはずのデパートはどこにいったんだろう?

あんなに人通りもあった道は知らない間に飲み屋街ばかりの裏道みたいな通りになってる。



ヴヴヴヴヴ…




先生からの着信!



「も、もしもし?」

『あ、穂乃花か?どこにいる?』

「…せんせ…、ここ、どこでしょう?」

『あ?』



もう、半泣き状態で立ち尽くす。



『なんか目印になるもんあるか?』



と言われてキョロキョロと周りを見る。



「えっと…スナックみたいな看板がたくさん並んでるビルとか…」

『お前、どこ行ってんの?』

「駅からデパートへ向かったんですけど…デパートがなくて」



受話器越しに大きなため息が聞こえる。

ああっ!先生、私の事呆れてるんだ!

そりゃそうだよね、あんな駅から目と鼻の先のデパートにもたどり着けないなんて…



『とにかく、分かりやすそうな店かなんか見つけろ』

「う…はい…」



もう、泣きだしそう…


「どうしたの?」



声をかけられて振り向くと中年の怖そうな男の人。



「君、どこの中学校だね?こんな時間に私服で学校はどうした?」

「え?」


ほ…補導?!

何?学校の先生でもないみたいだけど…って!

私が中学生!?



「いえ、あの、私は大学生で…」

「嘘をつくな!」



怖い!!

もう…散々すぎる!





「穂乃花!」




男の人越しに走ってくる先生が見えた。



「先生!」











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