先生のお好きなように


1.先生と私(1/64)







「穂乃花(ほのか)!山本先生来たよ!」




その言葉に慌てて窓の外を見る。

職員室のある東館から生徒棟へ続く2階の渡り廊下を山本先生が歩いていく。

昼休みのこの時間、北館の端にある美術室へ向かう姿を見るのが私の楽しみ。

私が山本先生を大好きっていうのはクラスでも知れ渡っているので気がつかないとこうやって皆が教えてくれる。



寝癖付きで白髪の混ざった頭も、うっとおしい前髪も、全然今風じゃない服装も、痩せすぎくらい細くて長い体も全部全部ドストライク!





「ほぅ…。今日も午後から頑張れる」





先生の姿が見えなくなるまで堪能してお弁当の続きを食べる。





「まったくどこがいいんだかね、あんなオッサン」





幼稚園から一緒の香織(かおり)がお約束のように言い捨てる。

長年のつきあいだから何言われようと気にもならない。




「まあまあ。穂乃花のマニア好きは今に始まったことじゃないんだし、カオリンも長い付き合いでしょ?そんな風に言わないの」



千紗(ちさ)ちゃんの言い方もどうかと思うよ?


マニアックって…







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