花園キネマ

転校初日は悪魔との出会い!?
桜も散りに散った5月に。
女子高から転校してきたあたしは、何処からどう見ても地味としかいえないような、そんな格好をしていた。
Yシャツを第一ボタンまで締めて、紐リボンも上でしっかりと結んでいる。
紺色の制服に身を包んだあたしのスカートの長さは何と驚くことに膝下5cmほどだ。
いや、もしかしたらもっとあるかもしれない。
無地の制服は全体的に暗いイメージを持たせるが、さらにあたしの肩まで伸びた黒髪を三つ編みにし、大きな黒縁眼鏡をかけていることが地味さに拍車をかけている。
新しく通うことになった私立白蘭学園高校。
校舎は馬鹿でかいし、門は洋風の城を思い浮かべるアンティーク調のものだ。
あたしは自分の容姿が人と違い、とても醜いことを自覚している。
黒のカラコンを入れて隠している瞳は、青紫色(ヴァイオレット)をしている。
父は日本人、母はフランス人と日本人のハーフ。祖母がフランス人。
劣勢遺伝により現れたそれによって、幼いころいじめられ続けた。
『ヴァイオレットの色はレッドとブルーの混合と反射によって形成される。
出現率は極稀。
アルビノを患う個体がヴァイオレットの目をもつ場合がある。』
調べたらコレだけしか出てこなかくて、酷くがっかりした覚えがある。
父や母は宝石みたいで綺麗だよ、と笑ってあたしの頭を撫でてくれたが、周りはそうじゃなかった。




前n[*]|[#]次n

1/31

/223 n
 しおりを入れる

⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[←戻る]