纏われの薬指
[〈 15 〉: 夢かな](26/26)


「そちらもオススメです。在庫の方も少なくなって来ています」


「こ、!これにします!これください!」



はい、と眩しい笑顔を見せた店員さん。


到底持ち合わせは足りず、クレジットカードを渡した。



「買っちゃった………


思っていた金額の、20倍はお金を使った。


奥宮さんのためならいくらだって出すけど、問題は。



「喜んでくれるかな


時計のデザインなんて好みがあるし、奥宮さんの好きなブランドだってあるだろうし、もし新しいの買ったばかりだったら



でも、もう遅い。


買ってしまったものは、仕方ない。



飲み会ではネクタイを渡して、それで終わりと見せかけて、当日にこの時計を渡そう。



丁寧に包まれていく時計の入った箱を見ながら、喜ぶ奥宮さんの顔を思い描いていた。


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