纏われの薬指
[〈 10 〉: 暗いオフィス](2/15)
「優希、早く帰んなよ」
「大丈夫?」
「いいの。デートでしょ、待田と」
「………うん」
じゃあお先に、と帰っていった優希の背中を見送り、再びパソコンに目をやった。
定時はとっくに過ぎていて、オフィスには私以外にちらほら人がいるだけだ。
「………頑張れ私…」
お昼過ぎに帰って来た奥宮さんだったけれど、私にはそんな暇はなかった。
すぐに資料作りに取り掛かり、奥宮さんも奥宮さんで忙しそうだった。
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