纏われの薬指
[〈 07 〉: 分かっています](23/23)
慌てて奥宮さんを押すも、ビクともしない。
それどころか、再び強く抱きしめられた。
「佐伯さんはさぁ……卑怯だよね」
「…えっ…?そ、それは、奥宮さんの方です」
「……そんなつもりなかったのに、色々話しちゃったな」
奥宮さんは腕の力を緩め、私を抱きしめるのをやめた。
予言通り涙の止まった私を見つめ、優しく笑う。
「……仕事、辞めてもいいかもって思っちゃった」
「…へ」
「ううん、何でもない」
奥宮さんは個室から出て行くと、お店の方と話し始めた。
お会計をするような声が聞こえる。
急いで食べなきゃ。
「…今、奥宮さんなんて言った?」
え?今、なんて言った!?!?
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