纏われの薬指
[〈 07 〉: 分かっています](2/23)
鼻が熱い。
ついでに、目頭も熱い。
エレベーターに乗り込み、降り始めたかと思うと、すぐに止まった。
この会社は25階という高さがあり、私達のオフィスは13階。
それまでに誰も乗ってこなきゃ、最高なんだけど。
まさか、22階で止まっちゃうなんてね。
「……佐伯さん…?」
「……え…」
なんでこういう時に、この人が乗ってくるかね。
「佐伯さん、何で泣いてるの」
「泣いてません。…こっち見ないでください」
「……聞いちゃダメ?」
「ダメです」
「…待田に何か言われたの?」
「だからっ、聞いちゃダメです!」
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