纏われの薬指
[〈 05 〉: 尾行はお静かに](2/21)
「胡桃ちゃん、すっごくお似合いよ〜!」
「ほんとですか?」
「ほんとほんと!も〜可愛い!!」
行きつけの美容院。
昔から馴染みのある美容師さんの元で、私は目の前の鏡を凝視していた。
「でもこの前染めたばっかりなのに!突然切るって言うからびっくりしちゃった」
「…ね。私も切るつもりはなかったんですけど」
切るしか、ないと言うか。
似合うと言われた以上、切る以外の選択肢はないというか。
嗚呼、この単純脳。
誰か褒めどころだと言ってくれ。
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