もう君には会えない
05 ..[期待と仕上げ](1/1)
アイツがデザインしたクラス旗。
あたしは応援団長だから、一緒に旗を作らなくちゃいけない。
面倒だな、なんて思っても一緒に作る相手がアイツだから
まぁいいかな、なんて。
「あー、ごめん。もうそろそろ部活行かねーと」
「えー!?今日で旗完成させないとダメなんだよ!?」
「わかってる!ごめんって。週末に選抜の試合があるんだよー」
「…しゃーないなあ。あとはあたしが頑張るから、いってらっしゃい」
「サンキュー!行ってきます!」
なんか、"いってらっしゃい"と"行ってきます"って…照れる。
少し赤くなった顔を隠すように、旗の仕上げにとりかかった。
…アイツがいないとつまんない。
そう思いながら出来た旗はなんだか、物足りなかった。
アイツがデザインした旗。
あたしのアイディアもいれていい?
あたしは白い絵の具に水をたくさん混ぜてはけにつけた。
一か八か。
失敗したら…みんなに謝ろう。
旗に向かって思いっきり絵の具の染みたはけを振り下げた。
…上出来だよ、成功だよ。
アイツはこれを見て喜んでくれるかな。
誉めてくれるかな。
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