デラシネのあかし
[五章・ナーサリーライムのしかばね](1/176)
 どうしてそうなったのか、僕にはわからないんだ。

 その記憶は僕でなくなった僕が持っているのだから。

 いや、もしかしたら、僕のように、僕でなくなった僕からも失われてしまっているのかもしれない。

 そうだとしたら、その、僕でも、僕でなくなった僕でもない僕も、僕と同じ道筋を辿るのなら。

 どうしてそうなってしまったのか、憶えている者はいなくなってしまうのだろうか。



 どうか。

 どうかどうかどうか。

 僕の親友。唯一無二の朋友よ。

 僕は君を信じている。

 きっと、君は僕を赦さないって。

 きっと、君は僕を憎むだろうって。

 きっと、君はまだ生きているって。

 僕は君を信じている。

 だから、お願いだ。

 どうか。僕はこのまま消えてしまうけど、どうか。

 どうか、お願いだよ。









 ああもうおわりか。

 たのんだよしんゆう。

 さいごにみるのがきみのせなかじゃないなんて、あんまりだなぁ。

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