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[第4話](1/14)
ある意味招かれざる客
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「それで、客って誰?」
後ろ手で自室のドアを閉め、部屋の外で待っていた蓮に話しかける。
部屋から出てきた私を確認すると、蓮は薄暗く長い廊下を客間へ向かって歩き出した。
私もそれに従い彼の隣に並んで歩く。
質問を聞いた蓮は、理解できない、といったような顔をして
「それが……名乗らないんですよ」
「はあ?
ちょ、名乗らない不審者を家に入れたの?!」
「さすがに俺も最初は入れようとしませんでしたよ!
ただ……」
「……ただ、何よ?」
廊下の途中で突然足を止め、真剣な顔をして私の方へ振り向き、一言。
「"吸血鬼に会いにきた"、と」
ひくっ、と自分の顔がひきつるのがわかった。
もちろん、私の正体が吸血鬼だということは周囲には明かしてはいない。
というか明かしたらえらいことになるしね、色々と!
「そいつ男?女?」
「男、です」
――私の正体を知っていて、男……?
心当たりはないけど、私のことを知ってるってことは、同族の可能性が高いな。
後は悪魔狩りとか……これは無いな、今の人間は何も知らないから。
……さて、どちらにしろ危険なことには変わりはない、か。
ふむ。と少し立ち止まり思考を巡らす。
「蓮」
「はい」
顔を上げ、隣で同じように立ち止まっている蓮を呼ぶ。
多分こいつは納得しないだろうが、仕方ない。
「ちょっと今からゲーム買ってきて☆」
「はい――って、はぁ?!」
「そういえば発売日なのよ、今日。
てことで、このゲーム買ってきてねーっ」
「は、ちょ、え、お嬢様?!」
「だいじょーぶだいじょーぶ!
ちゃんとお客様には会うから!」
そういう問題じゃありません!と叫ぶ蓮にゲームの名前を書いたメモを渡し、ダッシュでその場から走り去る。
いくら引きこもりでも吸血鬼の素早さなめんなよ!
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