〇[少女と母親](11/11)
「…おかえり、茉莉」
「ただいま戻りました」
男はあたしの髪に触れ、満足そうに目を細くした。
「綺麗な髪だ」男が言った。
1番高いトリートメントをしましたから…とは言えない。あたしも満足したかのように微笑んだ。
「叔母上は?」
「母は本宅へもどりました。遥様によろしく、と」
あたしがそう言うと男は後ろからそっとあたしを抱きしめた。
「そう。叔母上は気がきく人だから好きだ。これ以上茉莉との時間を割かれたくはない」相変わらず心地のいい声。本当に唄ってるかのよう。
「街はどうだった…?」男が聞いた。
「楽しかったです」本当はいつもより楽しくはなかったけど。
お母さんのあの言葉が未だに頭に回っている。
後最悪だったのがあたしが自殺願望者だったこと。
だけどあれは魔がさしたんだ。あたしにはまだ学校と友達が残っている。
「茉莉、明日は学校に行くの?」
「…ええ、さすがに四日も休んでしまいましたし。明日行けばまた連休ですから」
これ以上休めない、休んだらあたしの気が狂いそうだから。
「そう、仕方ないね…。明日もすぐ僕の元へ帰っておいで」
男はあたしの耳元で囁いてくる。
「はい、遥様」
拒まずにあたしはしっかりと答えた。
拒んだところで何か変わる訳ではないんだから―
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