仮面の下でキスをする
[揺れ動く気持ち](1/12)
達也は小学校から今でもずっとバスケをしている。
言ってしまえば、バスケバカ。
背も高く、切れ長の涼しげな目と人懐っこい笑顔で女子からの人気も高かった。
達也の通う男子校は校則もそれほど厳しくないらしく、軽く茶色に染めた髪と小さなピアスが達也によく似合っていた。
ーねぇあの人、かっこよくない?
ーあの制服って國龍だよねぇ?
ー國龍ってイケメン多いよねぇ♪
???やんちゃ系?かわい〜♪
奥澤高校の正門付近で女子生徒達の視線を浴びながら、達也が夜子を待っていた。
「た、達也!?」
「夜!おっせーよ!
??すげぇ恥ずかしい!
??ちょーガン飛ばされてるし!」
「だから、すぐ近くのコンビニで
??待っててって…メール読んでな
??いでしょ?」
「は?そんなん読んでねぇよ!」
「あはは?読んでない達也が悪い
??んじゃん〜♪」
「お前…いいから、行くぞ!」
そう言って達也は自然と夜子の手を引いた。
「あれ〜?あれって夜子ちゃんだ
??よなぁ?」
「え!?マジか、夜子ちゃん彼氏
??持ちかよ〜!?」
密かに狙ってたのにぃ〜と田中が嘆いている。
「律、知ってた?」
そう言って窓の外、グラウンドの端にある正門を鈴木が指す。
他校の制服を着た男と笑い合っている夜子の姿があった。
ー…あいつ、確か…?…
その男に見覚えがあった。
はっきりと顔は思い出せないが
背の高さと雰囲気からして…
クリスマスの日に夜子と待ち合わせをしている時、律と落ち合う前に夜子が話していた男だ。
「知らない。彼氏かぁ…
??悪いことしたね…」
つぶやくように言って、小さく笑った。
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