本日は性転ナリ。
[10.包囲⇔抱擁](1/1)
俺は昔から深く考えるのが嫌いだ。
だから行き当たりバッタリな事が多い。
ここら辺でいう"やらまいか精神"と言ったものか。
まぁなんとかなるっしょ!!やってみようじゃないか!って事だ。
そして今、俺はその"やらまいか精神"が発動した。
もうどうなっても構わねーよ!!
俺は女だ!!
しばらくの間生きてやるよ!!女としてッ!!
俺は勢い余って佐々木さんの手を取った。
「佐々木さん!ありがとう!!」
この時、佐々木さんはかなり驚いた顔をしていたと思う。
そりゃそうだ。
だって名前聞いてもないのに"佐々木さん!"とか…
早速やっちゃったな…(笑)
休み時間。
『衣瑠ちゃーん♪調子どぉ?』
早速、莉結がやってきた。
いつもであれば莉結の周りには自然と人だかりができていて、俺の周辺と比較すると完全な明暗のコントラストが出来上がる。
真夏のビルに突き刺さる光と、その陰のようなものだ。
そして今日はそれが俺の周りで起きている。
『ねーねー!今までどこ住んでたの?』
『瑠衣くんと仲良いの?』
『L○NEのID交換しよーっ♪』
『ねーねー!部活どこ入るのー??』
『ちょっとみんなやめてっ!!この子は…衣瑠ちゃんは…』
…やめてくれ
やめて…
"""コッチオイデッ…"""
「ウワァーッ!!!!!!」
『瑠衣…大丈夫?』
「ここ…保健室?」
『うん。先生に言ったら看病してていいって。』
「ごめん。俺やっぱり無理だ。あぁゆーの。」
『うん…いいんだよ。無理しないで。私もごめんね。』
幼い時の記憶…
幼いと言っても小5の時だが。
ヴッ…
ヤバい…吐きそう…
とりあえず今はゆっくり休もうかな。
『衣瑠…』
「2人の時はその呼び方…」
ん…
暫くの間時間が止まった錯覚に陥る。
次第に心臓の鼓動が音を立てて大きくなっていく。
「莉結…?」
『え?アッ…冗談冗談!!ビックリした?あははは…それじゃぁ私行くねっ!!』
あの莉結が俺に抱きついてきたのだ。
なにがどうなってしまっているのか…
俺には理解できなかった。
あの莉結の顔….
いや…莉結も冗談だって言ってたし。
考えすぎだよな…
前にも
"男子とかまっったく興味ないし私は恋なんて無関係かなぁ??勿論瑠衣もそういう興味は無いから安心してね!"
なんて話をしたばかりだ。
"衣瑠"…大好き…
あの言葉が頭を過ぎる。
っっ…バカなこと考えてんじゃねぇよ俺!!
そろそろ戻らないと…
俺は保健室をあとにし教室へと向かった。
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