血と夜と月と、
[嵐の訪れ](1/6)






元治元年


神無月




新撰組に……



ーーーーー嵐が訪れる…









「近藤さん!おかえりなさい!」




「おう総司か!体調はどうだ?」




「少し咳はでますけど熱はないし大丈夫です」






そうかそうか、
と言い嬉しそうに笑いながら
沖田を撫でる近藤。


これは新撰組が結成される前
からの光景だ。





「近藤さん戻ったか」



「おうトシか。少しいいか」



「あぁ」






そして今、
土方の部屋にいるのは
近藤、土方、はじめ、蒼、沖田だ。




近藤の話す内容とは
新撰組に新たに隊士が
加わる、というものだった。




加わるのは伊東甲子太郎という
男と他数人。



なんでも伊東という男は
北辰一刀流を学び、道場主に
力量を認められるほどの腕前
らしく、藤堂平助とは
同門にあたるらしい。

おまけに頭も良いとか。





「どうだ、トシ。参謀として受け入れたいんだが…」





にこやかに言う近藤とは
裏腹に険しい表情の土方。



それは無論、沖田やはじめも
同じだった。






「いきなり参謀っつうのは不公平だと思うがな」



「いや、しかしだ!伊東くんは頭もいい!必ずや新撰組に利益をもたらしてくれるぞ」






近藤が伊東を
信頼しきっているのは
見えすいていた。



それにこれ以上近藤に
反対したところで
何にもならなそうだ。




それを感じたらしい。





「…まぁあんたに任せる」






普段は折れることのない
土方も今回ばかりは
折れたのだった。










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